2009年 02月 16日

八百卯、閉店



『-----とうとう私は二条の方へ寺町を下り、そこの果物屋で足を留めた。
ここでちょっとその果物屋を紹介したいのだが、その果物屋は、
私が知っていた範囲で最も好きな店であった。
(中略)
その日私はいつになくその店で買い物をした。
というのはその店には珍しい檸檬が出ていたのだ。------』

(梶井基次郎『檸檬』より)



先週、寺町通りに用事ができたので、久しぶりに八百卯にも寄ってみたら、
シャッターが閉められていて、ひとつの張り紙がしてあった。なんだか嫌な予感がした。


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自分が一等好きな小説の要の舞台といえる八百卯は、私にとっても、とても大きな場所だった。
そもそも昭和初期の小説に登場している果物屋が、いまも存在している、
梶井基次郎の生きた時代と確かに繋がっている。なんて、ロマンのようなものを感ぜざるを得なかったからだ。


去年の冬に、初めて八百卯を訪れたとき、(ここで梶井基次郎が檸檬を買ったのだ。)と、
すごくドキドキ興奮して、自分も檸檬を買った。

夏には二階のパーラーで、フルーツパッフェを食べたっけ。美味しかったなあ。

閉店したのは1月25日と書いてある。私が行ったのは2月14日。
閉まる前に、もう一度行きたかった。



でも、この時代まで八百卯が残っていてくれて、
閉店するまでに行くことが出来て、本当によかった。そう思うと幸せだったんやなあ。
『檸檬』はこれからもずっとずっと読み続けられ、愛され続けるに違いないから。



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                                        (2008年1月撮影)
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by niju-mal | 2009-02-16 21:33 | 日常


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